●ライフストーリー研究会8月例会(夏期研究集会)が8月26日(日)、研究所(山梨)にて行われました。

当日は、3本の研究発表が行われました。

発表内容について報告します。


【第1報告】

SMA(脊髄性筋萎縮症)当事者の「病いの語り」――病名告知と重度化を中心として
報告:向山夏奈

報告作成:向山夏奈

<用語・事実確認>

・ALS・筋ジストロフィーとの違いはなにか
→ALS は孤発性で、中年期以降に突如として発症する(遺伝ではない)。
→SMA は指先まで完全に動かなくなるわけではない。意思疎通が不可能になるほどの重症化はしない(重症型である 1 型は除く)。
・予後について当事者はどのように理解しているのか
→ほとんど気にしていない様子。文献でも予後については書かれていない。

<発表に対するコメント・議論>

▽1 章
・「個人の経験の全体性」とはなにか

▽2 章と 3 章でたびたびでる「主体性」について
・同じ定義で使われていない。
・疾患に対する主体性(2 章)と、重度化に対する主体性(3 章)では意味が違う
→概念定義をきちんとすべき。

▽2 章:原因不明の時代の「主体性の構築」とは何か(p5)
・「反医療」のようにも読める
・医療が変化したら、主体性のあり方も変わるのか
・どんな病院でも病名がわからない時代があった。そういう時代に生まれた人は、自分たちでどうにかするしかなかった。「自立心」が強いと言える
・いまの若い世代は医療とのやりとりが自由にできる
→前者と後者では主体性のあり方が違う
・主体性と言われると、「自分の意見をはっきり言う」という意味に捉えられる
・曖昧な言葉なので、使うことは進められない。
・「自立性」という言葉はどうか

▽2 章の KY さんの描き方に疑問
・医師の言説に囚われて保護的に扱ったのは母親。主体性がないのは親。
・それに対して、KY さんは駆け落ちという手段で反抗している。しっかりそこまで描く

▽3 章:重度化に対する「主体性」とはなにか
・主体性という言葉の中身を出さないといけない
・その言葉の背景、コンテキストの描き方が足りない
・p9 の最後の一文は、この論文の核なのにあっさりと書きすぎ

▽全体への意見
・冒頭の「患っているという認識はない」と言われたことはこの研究の入り口。導入にはこだわったほうが良い。
・協力者との関わり合いのなかで気づいたことが見えて来ない。協力者に言われたことや、それに対して自分がどう思ったのかを書き込むべき
・せっかく介助にいってるのだから、もう少しエスノグラフィックな視点を入れた方が良い
・協力者に自立生活者が多いとのことだが、その語りが生まれた個人的な要因のなかに自立生活の文脈も押さえる必要がある
・病いの語りというタイトルからは想像がつきにくい内容なので、タイトルは要再考。
・しかしその一方で、時代変化と当事者の差異があるという発見に社会学的な意義があるので、その変化や差異はしっかり描く。
・あいまいなことを曖昧なものとして描く努力を