●ライフストーリー研究会8月例会(夏期研究集会)第2報告について報告します。

【第2報告】

ホームレス経験者にとっての「住まい」
報告: 杉野衣代

質疑応答のまとめ

【飯場について】
Q:飯場とは何か。
A:大規模な工事現場にプレハブなどで設置される現場作業員用の住まい。
Q:飯場に家族で住んでいたというのは、他の人もいる大部屋で暮らしていたのか、それとも家族だけで住んでいたのか。
A:インタビューではそこまで聞いていないので分からない。

【生活保護制度について】
Q:生活保護では家賃が出るのか。
A:東京都の単身世帯だとひと月 53,700 円出る。
Q:寮で暮らす場合の費用はどうするのか。
A:生活保護費から寮の家賃や生活費が出る。無料低額宿泊所の場合、家賃以外に食費などで生活保護費のほとんどを施設に徴収され、本人の手元には数万円しか残らないため、これが「貧困ビジネス」として批判されている。
Q:生活保護では住宅扶助しかないのか。どのように生活するのか。
A:住宅扶助費以外に生活費がひと月12万円くらい出るのでそれで生活することに
なる。
A:仕事をして収入を得た場合はどうなるのか。
Q:収入を得た分だけ生活費から減額される。収入が生活費を上回れば生活保護は打ち切られ仕事をした収入で暮らすことになる。

【ホームレスについて】
Q:ホームレスの数は増えているのか。
A:総数は減っている。
Q:ホームレスはどこにいるのか。
A:渋谷や新宿などに多い。夜回りに行くと東京駅のすぐ裏の高速道路の高架下にホームレスの人たちが集まっていたりする。
Q:女性のホームレスはどれくらいいるのか。
A:数は分からないが、男性と比較して非常に少ない。女性ホームレスについては丸山里美さんがダンボールハウスへ住み込みして行った調査が有名。
Q:語りの中に引っ越し移転などの仕事が出てくるが、ホームレスの人たちはどんな仕事をしているのか。
A:工場で荷物出しの作業や建築現場の雑工、派遣労働での期間工など。最近では、スマホ店舗のスタッフの操作を裏でサポートするサービス業もある。 以前から言われているのは、いわゆる寄せ場と呼ばれる東京の山谷、大阪の釜ヶ崎、横浜の寿などで手配師から日雇いの仕事をもらって働く形態である。

【母の価値観について】
Q:母の家のところで、結果のまとめには「母親にとってのあるべき男性像に当てはまらない」とあるが、実際に母がそう語ったわけではなく A 氏が母がそうイメージしているだろうと思っているだけではないか。
A:A 氏としては母親がそのような価値観を持っていると考えていると考えておりそれが実家から 5 日で出るきっかけとなっている。

【寮(無料低額宿泊所)について】
Q:この寮が無料低額宿泊所だとは言い切れないのか。
A:データにも掲載しているが、ご本人に無料低額宿泊所か訪ねたが明確な回答がなかった。ホームレス支援に詳しい方にこの寮とは何か尋ねたところ、無料低額宿泊所だと回答があったため、無料低額宿泊所であろうと考えている。
Q:寮のプライバシーのなさが嫌なところとして語られているが、この方が音に敏感なところがあるのか。
A:特に神経質なタイプではない。

【男性のステレオタイプについて】
Q:男性のステレオタイプ、女性のステレオタイプが居場所を失うリスクとなるというのはこの語りからは導き出せないのではないか。
A:所属がジェンダー学祭専攻なので、ジェンダー関連の事項は入れていきたいという思いがある。
Q:この語りからはそこまで言えない。ジェンダーに囚われずに語りから導き出されることを書いた方がいい。

【家族観について】
Q:普通の男はローン払って持ち家を持つという価値観はどこで身につけたのか。
A:そこは聞けていないので分からない。
Q:幼少期に飯場生活をしているときに、小学校などで自分の家族は他の子の家族とは違うといった価値観を持ったのかもしれない。幼少期の生活をもっとしっかり聞いた方がいい。
Q:家族との関係はどうだったのかの聞き取りが必要。
A:次回聞き取りをしてみる。
Q:A 氏はどのような結婚観を持っているのか。
A:支援団体のスタッフから恋愛や結婚についての質問は、ホームレス経験者に対して聞いてはいけないと釘を刺されているため、聞けていない。
Q:飯場での生活と旅役者との生活を比較するといいのではないか。
A:考えてみる。

【人間関係について】
Q:昔からの親友などはいるのか?
Q:路上での人間関係はどうだったのか。
A:次回聞き取りをしてみる。
Q:路上に出るときの葛藤はあったのか。
A:この方からは聞けていないが、別のホームレス経験が長い方から途方に暮れたなどの話を聞けた。

【調査対象について】
Q:トランスクリプトの確認は全員可能だったのか。
A:1 名トランスクリプトの確認前に音信不通になってしまった方がおり、その方のトランスクリプトは使えなくなってしまった。
Q:トランスクリプトは論文に使えなくても、参照用として使用すればいい。
A:そのようにさせていただく。

【リサーチクエスチョンについて】
Q:安定した居住生活というのは何を意味しているのか。
A:生活保護受給状態から必ずしも脱していなくても、数年間、同じ居所で生活し続けている状態。
Q:それは路上でもいいのか。
A:路上は居住生活に含まない。施設や宿舎は含む。

報告作成: 杉野衣代