『語りの地平 VOL.9(2024)
【目次】
●論文
「物語」が創出される場面における調査者の立場性に関する一考察
――ある若年女性にとっての「援助交際」という経験を事例に(長澤敦士)
未婚モンゴル女性が語る結婚相手の選択の実情
――内モンゴル東部の農村での事例研究(烏 英嘎)
「生きていく力」を育む留学の意味とキャリア形成支援の課題
――文系大学院博士課程に在籍する留学生の語りを通して(寅丸真澄)
アルコール依存症者の「重要な他者」の視点からの支援(河野義貴)
●研究ノート
若者が作る「コミュニティのためのビデオ」とその制作現場における語り
――ニカラグアのカリブ海岸北自治地域を事例に(池田佳代)
●特集1 特別研究会 ライフストーリー研究における調査者としての私
ライフストーリーを聞く「私」の立場性と構えの変容
――元留学生への聞き取りの経験から(佐藤正則)
ライフストーリーについて
――人生の物語の編集から解放へ(山本佳世乃)
ライフストーリー研究者の役割
――マジョリティがマイノリティの語りを開く場合(西倉実季)
●特集2 シンポジウム 森岡清美の社会学研究と調査法
はじめに (藤崎宏子)
長期反復調査が可能になった勝沼家族調査 (堤マサエ)
森岡宗教社会学との歩み――戦没者慰霊・神社祭祀の視点から(今井昭彦)
森岡清美の「決死の世代」への視点と分析 ――ライフコース・コーホート・コンボイ(渡辺雅子)
●自著を語る
『ハワイ移民漁師の生活史』(上田喜三郎)
『がん患者の集団になにができるか一肺がんの罹患経験の社会学』(齋藤公子)
『原爆映画の社会学――被爆表象の批判的エスノメソドロジー』(好井裕明)
●研究手帖
フィールドワークのリアリティ(下)
――「不知火海総合学術調査団」の「色川大吉資料」をもとに(桜井 厚)
●時の流れに(JLSRニュースレター巻頭記事)
・手乗りAIが肩乗りになったら (土田 拓)
・ドイツと私 (三浦優子)
・私のライフストーリー研究の原点 (桜井 厚)
・「どのように語ったか」を分析するということ (萩原まき)
・世界は繋がっている (三浦典子)
『語りの地平 VOL.8』(2023)
【目次】
●論文
柔軟で裁量的な働き方の実現に向けて(宮地弘子)
「出生を望まれなかった女性」のライフストーリー(張羽欣)
コーダ同士の対話の考察(安東明珠花)
ウェイスト・ピッカーの暮らしの脆弱性とその要因(譚天儀)
●研究ノート
ある地域の障害者運動家のライフストーリー(打保由佳)
軍港都市「呉」に進駐した英連邦軍兵士と地域の子供のストーリー(江口千代)
●特集 ライフストーリーの分析・解釈に向けて
AIへの問いをとおしてライフストーリー法を考える(片桐雅隆)
ライフストーリーについて(山本佳世乃)
「だけどもなぁ」の語りから受けとる調査協力者の生の豊かさ(吉田静)
●特別寄稿
コンボイのライフストーリー(森岡清美)
●自著を語る/作品解説
『髪をもたない女性たちの生活世界
――その「生きづらさ」と「対処戦略』(吉村さやか)
『遠き山に光あり』(宇都宮みのり)
ドキュメンタリーと語り―『水俣曼荼羅』(好井裕明)
●研究手帖
フィールドワークのリアリティ(上)(桜井厚)
●時の流れに(JLSRニュースレター巻頭記事)
『語りの地平 VOL.7』(2022)
【目次】
●論文
キャリア発達論的に見た牧師兼チャプレンのライフストーリー
――「タテマエ」抜きに得られた語りとその背後にあるもの (柴田 豊)
日本語教員の役割としての「再包摂」再考
――他分野教員の「抵抗の語り」を受けて (松本明香)
日本語教師を経験した日本語教育者の語り
――キャリア形成の視点から (髙井かおり)
成人日本語学習者のライフキャリアにおける留学の意味
――アイデンティティとトランジションの体験の語りから (寅丸真澄)
●研究ノート
精神障害者の自死遺族のオートエスノグラフィー (河野義貴)
精神科看護師の熟練過程における重要な経験
――ある看護師のライフヒストリーから (早藤夕子)
●特集 トランスクリプトの表記と使用
・「語り手の「声」・「場」の空気感 (岸 衞)
・日本語非母語話者に日本語でインタビューするということ、そしてそれを読み手に伝えること (家根橋伸子)
・トランスクリプトをまとめるにあたっての私の経験 (伊藤文子)
●シンポジウム 日本語教育×ライフストーリー=?
開催の趣旨 (松尾 慎)
[基調報告]
日本語教育実践を志向するライフストーリー
――日本語教育におけるライフストーリー研究の展開と展望 (三代純平)
[報告1]
留学生のライフキャリアを支援する日本語教育
――ライフストーリーが拡げる言語教育の地平 (寅丸真澄)
[報告2]
個人の語りにみる日本語教育の社会的文脈
――寄り添いと自己相対化の先にあるもの (中川康弘)
[報告3]
“日本語教育の外側”を生きる
――モデル・ストーリーを持たない中国帰国者三世の私たちが互いに語り得ること、あるいは語りの共同構築可能性について (山崎 哲)
シンポジウムを終えて (荻原まき)
●時の流れに(JLSRニュースレター巻頭記事)
・中野卓先生の府中市史調査 (上田喜三郎)
・宮崎アニメにみる“ヤングケアラー” 描写――『トトロ』と『千尋』 (倉石一郎)
・アイヌによるアイヌ近現代史研究が受け入れられつつある、のではないか (新井かおり)
・猫のクリスティナ (矢野 泉)
・「世話焼きじっじ」の話――民生委員のしごと (岸 衞)
・百聞は経験に如かず――捕鯨者は船乗りである (赤嶺 淳)
・祖父の友人の足跡を尋ねて (筒井久美子)
・記憶の物語化にみる相互行為性 (島田 環)
『語りの地平 VOL.6』(2021)
【目次】
●論文
戦後サハリンを家族と共に生きたある帰国日本人女性の語り
――複言語・複文化主義の観点から (佐藤正則・三代純平)
外国出身の親をもつ子どものライフストーリー
――アイデンティティと親子関係の揺らぎをめぐって (金 志唯(神谷志織))
中年期女性の世代間関係と介護
――介護する/される立場 (藤崎宏子)
「病いの語り」をいかに聞き取るか
――肺がん女子会などの立ち上げに携わったMさんの語りから (齋藤公子)
ある地域の障害者運動家のライフヒストリーが提起する障害者差別の様相 (打保由佳)
●研究ノート
精神科病院への長期入院の背景
――Aさんの語りから見る3つの視点 (伊藤文子)
一高齢男性に聞く信仰の軌跡
――クリスチャンがクリスチャンに行ったライフストーリー研究 (柴田 豊)
カンボジア難民の語る「エスニック・コミュニティ」と「日本社会」とのつながり (長谷部美佳)
●特集:調査協力者との関係構築についての省察
・「アナさんに、ついていく」 (荒沢千賀子)
・医療現場でのライフストーリー研究における調査者のポジショナリティについて――非対称性の存在とそれに対する工夫 (山本佳世乃)
・ライフストーリー・インタビューにおける日本語教師と外国人留学生のポジショニング (寅丸真澄)
・私は何を聞いて/書いてこなかったのか──当事者による調査研究とインターセクショナリティ (矢吹康夫)
・「エンパワーメントの語り」を継承する――私が調査を続ける理由 (吉村さやか)
・調査関係の構築――東京・八王子、山形・酒田の芸妓の聞き取りを中心に (中原逸郎)
●自著を語る
『生きられた経験の社会学-当事者性・スティグマ・歴史』 (山田富秋)
●書評
・北出慶子・嶋津百代・三代純平編著『ナラティブでひらく言語教育』 (家根橋伸子)
・長谷部美佳著『結婚移民の語りを聞く―インドシナ難民家族の国際移動とは』 (大友昌子)
研究手帖
追悼:色川大吉 「不知火海総合学術調査団」の内幕を語る (桜井 厚(編))
『語りの地平 VOL.5』(2020)
【目次】
●論文
<親>を亡くした自死遺児の経験とライフストーリー
――幼少期の出来事をめぐる経験の捉え直しに注目して (今井 聖)
発達障害の孫との関わりを通して生きる祖母のライフストーリー (江口千代)
地域で生活する長期入院経験を有する統合失調症の人々にsおける自尊心の維持に関するライフストーリー研究 (伊藤文子)
小児がん経験者が病気の不確かさを乗り越えながら自立していく経験 (岩瀬貴美子)
ある女性の専門里親経験―養親になることを決断するまで (秋山 剛)
DV被害者にとっての母子世帯向けシェア住居の可能性 (杉野衣代)
日米国際結婚夫婦の宗教的文化十さんをめぐる夫婦間葛藤と妻の独立への模索 (矢吹理恵)
●研究ノート
ある地域の障碍者運動家のライフヒストリー――1970・80年代を中心に (打保由佳)
抑圧されている自己との対峙に必要な他者の役割
――聴覚障碍者のきょうだいの語りと対話から考える (丸田健太郎)
●特集:インタビューのたのしさ、むずかしさ
・インタビュー経験を振り返る――「むずかしさ」に気づくまで (池上 賢)
・「出会い」からふりかえる――インタビューの楽しさと難しさ (山本哲司)
・初めてのインタビュー調査――若者向け職業訓練プログラムの参加者との出会い (渡邉 翼)
・インタビューは何語で行うか――「ライフストーリーに見る聴覚障害学生の支援」(修士論文)を書き終えて (浅井久美)
・定住するミャンマー難民へのインタビュー――調査者である私と調査協力者である彼・彼女の変化 (古川千種)
・聞き取りデータは常に「新しい」 (岸 衛)
●書評
・中野千野 著『複数言語環境で生きる子どものことば育て――「まなざし」に注目した実践』 (松尾 槙)
・知念 渉 著『<ヤンチャな子ら>のエスノグラフィー――ヤンキーの生活世界を描き出す』 (渡邉 翼)
●時の流れに JLSRニュースレター巻頭言エッセイ
・ほんの少し開く希望 (難波博孝)
・みかんと赤福――盛岡清美先生の「お礼」 (小林多寿子)
・泉のほとりで (佐藤浩一)
・新型コロナウィルス感染症(COVID-19)と共に生きる時代に向けて (鈴木明子)
・日本ライフストーリー研究所の今後への期待 (山田富秋)
・声に触る――スマートフォンをいかに活用するか (船橋純一郎)
・夢屋の30年 (遠藤和枝)
『語りの地平 VOL.4』(2019)
【目次】
●論文
近代化する漁業における漁師の揺らぎと誇り
――突棒漁をやめられない漁師のライフストーリー (吉田 静)
海外駐在員配偶者における強化された性別役割分業 (三浦優子)
「職業として確立していない」言説に抵抗する語り
――1980年代後半にキャリアを始めた日本語学校教師のライフストーリーから (佐藤正則・三代純平)
●研究ノート
粋の研究
――京都北野上七軒の芸の語りを中心に (中原逸郎)
看護学とライフストーリー研究に関する一考察 (山本壮則)
在日コリアン高齢者の老いと日常的実践
――通所看護施設選択を事例にして (伊藤尚子)
寺院運営の課題と住職の「感度」
――生活文化としての寺院仏教(2) (山本哲司)
●特集:なぜ、いまライフストーリー研究が求められるのか
・いまなぜ看護にライフストーリー研究が求められるのか (横山恵子)
・看護学におけるライフストーリー研究の意義 (江口千代)
・「チイチイパッパ」を超えて (岩崎美智子)
・日本語教育におけるライフストーリー研究 (三代純平)
●研究手帖
社会調査における若干の問題点 (桜井 厚)
『語りの地平 VOL.3』(2018.11.10)
【目次】
●論文
地域日本語教育支援のあり方を規定する動きに抗う
――ある日本語ボランティアへのライフストーリー・インタビューから (中川康弘)
無侵襲的出生前遺伝学検査(NITP: Non-invasive prenatal testing)を受けた妊婦の経験
――関わりの中でのNIPT経験 (山本佳世乃)
ある女性の移住経験にみる戦後開拓の個別性
――「1960年作業簿」と聞き書きから (土田 拓)
台湾原住民の日本語世代のライフストーリー
――「インタビューの場」と語りの変容 (荻原まき)
在日コリアン高齢者介護施設の多義的意味
――中京地区を事例として (伊藤尚子)
●研究ノート
「個別性」へのまなざしの意味
――桜井厚のライフストーリー論をめぐる議論を手がかりとして―― (近藤菜月)
「兼職の語り」と寺院護持の課題――生活文化としての寺院仏教(1)―― (山本哲司)
「声」と「言葉」のはざま――ライフストーリーの記述をめぐって―― (岸 衞)
●特集:調査経験から「調査倫理」を考える
・看護研究における「倫理審査」と「匿名・許諾」の問題に直面しながら (塚田 守)
・声と言語、録音と人生 (佐野直子)
・私自身が聞き手でないライフストーリーの対話的な解釈へ――アーカイブ作成の一歩手前で思うこと (佐藤正則)
調査倫理を得て経験した語りの重み (江口千代)
・研究者としての「仁義」 (仲 真人)
●書評
・『自己語りの社会学:ライフストーリー・問題経験・当事者研究』:小林多寿子・浅野智彦編、新曜社 2018年 (倉石一郎)
・『老年という海をゆく―看取り医の回想とこれから』:大井玄著 みすず書房 2018年 (八木澤良子)
●研究手帖
日本での「ライフヒストリー」用語使用の始まりの頃とその後の定着について――中野卓調査資料整理作業より――(中西茂行)
『語りの地平 VOL.2』(2017.11.10)
【目次】
●論文
生きるためのユーモア――自分を笑う、病の日常を笑う(西倉実季)
ある「語り部」が生きた革命――ソフトウェア開発者「スピリット」の可能性と限界(宮地弘子)
「海外駐在員配偶者女性」カテゴリーと自己――女性たちの語りから(三浦優子)
●研究ノート
ライフストーリー研究方法論に関する一考察――看護学の立場から(江口千代)
アイヌ近現代史の諸断層――貝沢正の未発表原稿に見る幼年期の記憶を中心に(新井かおり)
「お金」と生きる――あるベトナム人技能実習生の語りから(馬場彩香)
●資料
学界の先達からの書簡――ある社会学徒の交信録抄(森岡清美)
●特集 「調査協力者との出会いの経験」
・研究法転換の契機となった<有機農業>・語り手との出会い(桝潟俊子)
・「今ここ」へと繋がる(萩原まき)
・出会うべき協力者とは誰か――再発直腸がん患者Aさんへのインタビュー経験から(斎藤公子)
・語り手を受けとめること(山本哲司)
・頼みやすさ=断られにくさ(矢吹康夫)
・何となく、お互いに「話せそう」と感じる時(岸 衛)
・藤原良次さんを追悼する(山田富秋)
●研究手帖
「対話的構築主義」のエッセンス(桜井 厚)
『語りの地平 創刊号 VOL.1』(2016.12.10)
【目次】
●創刊のことば
●論文
「基地の街」の保育所前史
――本土復帰前の沖縄・コザにおける託児施設(岩崎美智子)
羨望・自律・自尊心
――宮沢賢治と2人の媒介者をめぐって(筒井久美子)
ニューカマーの子どもの抱える問題
――就学中の危機とその克服(原田かおり)
不登校を経た高校中退者の認識世界に関する一考察
――災害ボランティアへの「参加」の語りから(林哲也・橋本佐由理)
ライフストーリー研究者という名のプロットメイカー
――発達障害者が必要とする「新たな<物語>の生成」(田野綾人)
ある女性の戦中・戦後を個人的記録から読み解く
――中流階層女性のジェンダー観の一事例(桜井 厚)
●研究ノート
貝沢正による「アイヌ」の再定義
――戦後の初期アイヌ施策との応答から(新井かおり)
フィールド調査に潜む落とし穴
――20年前に行った聞き取りを振り返る(田中政明)
境界線上への入植――北海道紋別市Sさんの戦後開拓体験(土田 拓)
●書評論文
オスカー・ルイスの記述と語り
――『メキシコの<五つの家族>』から『サンチェスの子供たち』へ(山本哲司)