(お詫びとお知らせ)ライフストーリー研究会3月例会の告知について
日本ライフストーリー研究会 3月例会について、当ホームページ上で参加募集を行いましたが、例会の内容についてのお知らせ記事が欠落していました。
皆様には大変ご不便・ご迷惑をおかけして申しわけございません。
3月例会は下記の記録のように行われました。お詫びとともにご報告いたします。
今後とも日本ライフストーリー研究所をよろしくお願いいたします。
マンガ経験の2000年代以降
――メディア環境の変化とライフステージから考える。
【報告者】池上 賢 (拓殖大学)
【開催日時】2024年3月10日(日)13:30~14:30
【開催場所】日本ライフストーリー研究所
【開催形式】研究所ならびにオンライン(zoom)会議
【概要】
筆者は2019年に上梓した拙著『“彼ら”がマンガを語るとき、』(ハーベスト社)において、1947年~1986年に生まれた人々を対象としたライフストーリーインタビュー調査を行い、戦後のマンガがどのように経験され、人々にとってどのような意味があるのかを明らかにした。一方、拙著において明らかにできたのは主に1990年代までのマンガ経験である。筆者は現在、第2次となる調査を進めている。
以上を踏まえて、本報告会では、特に「2000年代以降のマンガ(との周辺のメディア)がどのように経験されて来たのか?」とテーマの研究に取り組むため、機縁法によって収集した筆者(1978年生まれ)と同世代の人々のライフストーリーインタビューデータに対する探索的な分析を実施する。1990年代から2000年代においては、インターネットの登場と紙媒体の衰退という大きな変化があると同時に、筆者と同世代の人間は、進学から就職、人によっては結婚・子育てなど様々なライフステージを経験しているが、それらとマンガ経験の関係性もテーマとなる。
【関連文献】
池上 賢 “彼ら”がマンガを語るとき、 メディア経験とアイデンティティの社会学 ハーベスト社 2019
【研究会報告】
当日の報告は、前半に、これまでの研究の視点・研究手法を踏まえたマンガ経験の語りの分析による知見を紹介し、そこから次への課題を析出、第2次ライフストーリーインタビューの計画とその内容が紹介されました。これまでの研究の成果は、上記の文献にまとめられています。
今回の報告では、これまでの研究では言及できなかった2000年代以降のマンガ経験、マンガ以外のメディアへのマンガ体験の広がり、ライフステージとマンガ体験を対象としています。メディアの多様性を背景とした個人のライフ全般におけるメディア経験を総合的に研究する視点の必要性、マンガ経験を語り以外の形式で提示する視覚の必要を述べ、実際のインタビュー・データが紹介されました。
研究会では、ライフステージとアイデンティティを巡るマンガ体験分析の有効性、マンガ内容の変化とマンガ経験の分析などへの意見が出され、議論が交わされました。