(ライフストーリー研究会例会:2026年3月8日(日))沖縄戦と向き合う意識の生成過程:忘れられた元白梅学徒隊中山きくのライフヒストリーを紐解く

ライフストーリー研究会例会を3月8日に行います。
皆さまのご参加をお待ちしております。
(通常例会は研究所会員のみで開催しております。ご了承のほどよろしくお願いいたします。)

沖縄戦と向き合う意識の生成過程:忘れられた元白梅学徒隊中山きくのライフヒストリーを紐解く

【報告者】 石川勇人(大阪大学大学院)
【開催日時】2026年3月8日(日)13:30-16:30
【開催場所】日本ライフストーリー研究所
【開催形式】研究所ならびにオンライン(zoom)会議(対面参加者若干名)
【参加資格】研究所会員限定
*オンライン参加の方ヘは、締め切り後、申込者にzoomのご案内をいたします。
下記の申込みフォームよりお知らせください。
3月8 日ライフストーリー研究会参加申込み
(参加申込みのボタンは、本ホームページのトップページにもあります。申込締め切り日は3月5日(木)です。)

【概要】
本報告の目的は、沖縄戦体験と向き合う意識がどのように生成されたのかを、元白梅学徒隊の中山きくのライフヒストリーを基に検討することである。白梅学徒隊とは、沖縄戦の際に戦場へ看護要員として動員された人びとを指す。白梅学徒隊の沖縄戦体験を聞き取り、記録する運動は1990年代に活発化したが、運動の中心の1人が、本報告で取り上げる中山きくである。中山は1975年から1980年にかけて広島で生活し、そうした戦後の移動経験と被爆地での生活体験を通じて、沖縄戦と向き合う意識を形成していった。しかし、このような個人の戦後史は、これまでの歴史叙述のなかでは十分に取り上げられてこなかった。では、なぜ元学徒の戦後史(個人史)は歴史叙述の対象外となってきたのだろうか。
 そこで本報告では、まず①白梅学徒隊および沖縄戦体験記録運動に関する先行研究を再検討し、同運動が何を想起し、一方で何を忘却してきたのかを、記憶史の観点から考察する。あわせて②中山にとって広島に住む経験がいかなる意味をもったのかを、同時代の広島の社会状況と接合しながら分析する。以上を通じて本報告は、沖縄戦体験と向き合う意識が、戦場体験それ自体から自明に生起するものではなく、広島という被爆地の戦争記憶との接触を媒介として生成される過程を明らかにするとともに、そうした生成過程が既存の歴史叙述の枠組みから零れ落ちてきたことを提示する。