森岡清美『真宗大谷派の革新運動―白川党・井上豊忠のライフヒストリー』

著が刊行された。著者は、私の恩師にあたる森岡清美先生である。御年93歳(記事執筆当時)。昨年、山形のお寺へ同行して資料収集のお手伝いをした、その成果である。
『真宗大谷派の革新運動-白川等党・井上豊忠のライフヒストリー』(吉川弘文館)は、明治時代、真宗大谷派の教学と寺務の改革運動を、それを担った当時30歳前半の僧侶六人衆のうち、井上豊忠の個人史を中心にその経緯を解き明かしたものである。
白川党とは、当時、洛北の白川村にかれらが拠点をおいていたからだとのこと。中心人物の清沢満之は有名だが、森岡先生は井上が「軍師」だったという。著者は、とくに六人衆を人生のみちづれ(コンボイ)とみなし、かれらの平等な関係の形成過程を跡づけ、生涯にわたる友情の物語として本書を描いている。
森岡先生は、家族社会学などで一般化をめざして理論化をすすめてきた学問的経歴をお持ちだが、今回は副題に「ライフヒストリー」の用語が使われて従来とはちょっとちがったスタンスから本書をまとめていて、すこし立場が近づいたような気がして親近感がわく。
恥ずかしい話だが、最近のライフストーリー/ライフヒストリー論なども読んだらしく、私の本にも二三違和感があるが、などとコメントを返してくれた。失礼ながら、このお歳にして自分より若い世代からもいまなお吸収しようとする学問的姿勢には頭が下がる。(桜井:研究所facebookより転載)

森岡清美『真宗大谷派の革新運動―白川党・井上豊忠のライフヒストリー』吉川弘文堂、2016年10月

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